ご挨拶

 

ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー長
中里 和郎

 

 平成22年度より名古屋大学ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー (VBL) 長を仰せつかりました。宜しくお願い申し上げます。

 名古屋大学VBLでは平成7年の設立当初から「高次機能ナノプロセス技術に関する研究」を中心課題に掲げ、新産業技術の創出と創造性豊かな若手研究者の育成を目的として、全学の関係する研究科等との共同運営によって、研究と教育の両面にわたり成果を挙げてきました。ここ数年、ナノプロセス技術の重要性が世界的に認識され活発に研究開発が行われていますが、本学VBLではその重要性をいち早く認識し、ナノプロセス技術に関する学術基盤の構築を推進することにより、成果を積み上げて来ました。これらを具体的に社会へ還元することが今後の重要な責務のひとつと考えております。

 大学の社会貢献を求める最近の社会情勢や「ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー」の言葉から、若手研究者の育成のみならず社会に還元できる研究成果を求める声はますます高まるものと思われます。名古屋大学VBLでは、長期的視野に立った基盤研究を推進しつつ、実用化できるものは積極的にそれを推し進め、幅の広い時間軸を持ってこの要請に応えていきたいと考えております。

 本学VBLは、2年前より、愛知県内4機関が連携して実施する文部科学省の先端研究施設共用イノベーション創出事業(ナノテクノロジー・ネットワーク)中部地区ナノテク総合支援の施設の1つとして加わることになりました。また、大学で生まれた技術の産業界への移転を担う中部TLOが平成17年度末からVBL建物内に事務所を構えており、産業界・社会との繋がりをより密接にする環境は整ってきております。名古屋大学VBLでは、今まで以上に企業をはじめ内外の研究機関と広く積極的な交流を行い、社会の発展に貢献し得る研究成果の創出、ならびに起業家精神に富んだ若手研究者の育成を進めていく所存であります。関係各位の一層のご理解とご支援を宜しくお願い申し上げます。

 


 

設置の趣旨

 名古屋大学ベンチャー・ビジネス・ラボラトリーは、大学院を中心とした独創的研究の推進と最先端技術開発の促進を目指し、全国の他の10大学とともに平成7年度に設置されました。平成16年度から18年度までは、名古屋大学エコトピア科学研究所に所属していましたが、平成19年度からは、全学施設としての立場に戻りました。このラボラトリーの役割は従前と変わらず、VBLでの研究が新しい産業の芽となり、ベンチャー精神を持つ若手研究者を育成するというものです。

 平成16年時点で45ある全国のVBLの中で、名古屋大学VBLでは、「高次機能ナノプロセス技術に関する研究」を提案し、本冊子で述べるような内容と体制でこれを推進しています。

内容

1.半導体、量子デバイス、有機・生体分子、構造・物性シミュレーション、機能材料などの将来の産業を支える基盤技術の研究開発を推進します。
2.高度の専門的職業能力を持ち、ベンチャー精神に富んだ創造的人材と将来の起業家を育成します。
3.上記1, 2を実施するために必要な教育研究施設・設備を整備し、研究費などを措置します。

基本的考え方

 このラボラトリーにおける研究教育が産業につながるために実践的であること、言うまでもなく独創的な研究であり、教育においても独創的であること、広い視野を持って総合的な位置付けと展開を行うこと、および、施設・設備を大学に限らず広く利用されるよう便宜を図り、国内外を問わず開放的に利用できるよう運営します。

  この目的を達成するために、国内外の著名な研究者を招へいし、また、名古屋大学からは若手の研究者を海外に派遣し、研究交流と共同研究を積極的に行います。